Admin

Book Data : 調書

原題 :

LE PROCÈS-VERBAL

翻訳者 :

豊崎光一

出版社 :

新潮社

原書刊行年 :

1963

ISBN / C :

978-4-10-510615-7 / c0097

私的分類 :

ル・クレジオ

備考 :

Memo

アダム・ポロ。ミシェール。犬。鼠。鱶。

QUote

(p.120)

 例えば、僕は灰色の背広の上下に黒い腕章をつけて、喪に服したっていい。僕が通りを歩いて行くと、人々は僕が誰か家族の一人を、誰か近しい者、親戚か母親を失くしたのだと思うだろう。僕はあらゆる埋葬について行き、儀式が終ると、僕の手を握る人たちがあり、また、声を落してお悔みの文句を呟きながら、僕に接吻する人たちがあるだろう。こうして、僕の最大の関心事は新聞の死亡通知欄を読むことになるだろう。僕はあらゆる葬式に、盛大なのにも貧しいのにも、参列するのだ。そして僕は少しずつ埋葬生活に慣れて行く。僕はどんな文句を言ったら良いのかを覚え、眼を伏せたりごく静かに歩いたりするやり方を覚えることだろう。

 僕は好んで墓地に出かけ、喜んで死者たちの額に触れるだろう。蒼ざめて張りを失った眼、空ろな顎に。平らな大理石に。そして葬いの花環の中心の、石膏の菫にからみ合うリボンの上に書かれたことを読むのだ。

↑Pageup